直前でやっておくこと

  • レース直前・当日の調整
監修:豊岡 示朗(トヨオカ ジロウ) 大阪体育大学教授、ランニング学会副会長大阪国際女子マラソンのテレビ解説を25年間。ホノルルマラソンは15回完走。
レース1週間前の調整
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レース1週間前からレース前日まではトレーニングの最終調整期間です。この時点で焦ってハードなトレーニングをすると、かえって身体に負担をかけます。コンディションの維持に力を注ぎ、練習は軽めのジョギング中心にして、それまで積み重ねてきたトレーニングの疲れから身体を回復させ、スタートラインに万全の体調で立てるように努めましょう。過度の緊張は疲労の原因になるので、普段通りの規則正しい生活を心がけ、睡眠も十分とりましょう。レースの2日前からはお酒は控えるようにしましょう。アルコールを摂取すると分解するのに体内の水分が使われるので脱水症状を引き起こすおそれがあります。

エネルギーを体内に蓄えるカーボローディング
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マラソンを走り抜くには膨大なエネルギーが必要です。マラソン完走に要するエネルギー量は普段1日の生活を送るのに消費するエネルギーの約3倍と言われています。そこで、レース途中でエネルギー切れにならないようにマラソン選手がレース前によく行なうのがカーボローディングです。

カーボローディング(カーボハイドレイト・ローディング)は、レース前の食事をエネルギー源の元となるグリコーゲンをつくる炭水化物中心にすることによって、グリコーゲンを増やして筋肉や肝臓に蓄えるというものです。

カーボローディングにはいろいろなやり方がありますが、アマチュアランナーにも簡単にできるのはレース3日前から高炭水化物の食事をとる方法です。日本人の食生活は基本的にご飯や麺類が主食なので炭水化物の摂取比率を高めるカーボローディングは比較的簡単に行なえるはずです。ただし、注意しなければならないことが2点あります。ひとつは食べ過ぎないこと。グリコーゲンを増やそうとして無理して大量の食事をとると、胃腸を壊し、体調を崩す原因になります。

さらに、水分も一緒に蓄積されるので、体重が増加します。あまり重い体重でスタートすると、エネルギー消費量も大きくなります。ご飯、うどん、スパゲティの量を増すのは厳しい人も見られるので、乾燥干しイモやドライフルーツをポリポリ食べることを勧めます。もうひとつは、ビタミンやミネラル不足に陥らないようにすることです。どれだけ高炭水化物の食事をたくさんとってグリコーゲンを増やしてもそれを燃焼させるにはビタミンが不可欠です。また、筋肉を正常に働かすためにはカルシウムやカリウムなどのミネラルも欠かせません。カーボローディング食でも野菜や果物はしっかりとりましょう。また、主食を白米ではなく玄米や雑穀でとるのもひとつの方法です。食事でどうしても補えないときは総合ビタミン剤などサプリメントを利用してもいいでしょう。

当日の過ごし方
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レース当日の起床時間は、レースのスタート時間から逆算して決めるといいでしょう。一般に人間は目覚めてから身体が本格的に始動できる状態になるまでに約6時間かかると言われています。6時間前では早すぎるという場合でも、朝食を消化するのにかかる時間を考慮すれば4時間前には起床したいものです。起きてから軽くウォーキングなどをすれば、早く身体が目覚めます。

朝食は、炭水化物とミネラルを中心にとりましょう。消化が悪く、お腹にガスのたまりやすい繊維質の多い野菜類や肉類は避けたほうがいいでしょう。排便はできるだけ自宅や宿泊先のホテル、旅館などで済ませましょう。身体が軽くなるだけでなく体内の循環が良くなります。

会場には遅くても2時間前には入り、スタート1時間前になったらウォーキングやストレッチなどのウォーミングアップを行います。このとき、レース用のウェアを着ていると汗で濡らしてしまうので、ウォーミングアップ用のウェアを別に用意しておくといいでしょう。ウォーミングアップは30分前には終え、汗をふいてからレース用のウェアに着替え、気温によっては、トレーニングウェアやウインドブレーカーを着込んで、せっかく温めた筋肉を冷やさないようにします。但し、目標が完走で4〜6時間以上かかるランナーは軽いストレッチで十分。エネルギーを温存してスタートラインに並びましょう。スタート前には水分補給を忘れず行ないましょう。

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