体調管理

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  • 熱中症と水中毒
監修:豊岡 示朗(トヨオカ ジロウ) 大阪体育大学教授、ランニング学会副会長大阪国際女子マラソンのテレビ解説を25年間。ホノルルマラソンは15回完走。
ランナーに必要な食事とは
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マラソンのトレーニングで気をつけなければならないのは暑さ対策です。温暖化の影響で、普通の生活を送っていても暑熱による熱中症になる人が増えています。ましてや身体に負担を強いるランニングを行なう場合は、熱中症に対して万全の対策が必要です。
夏場のトレーニングは早朝や夜など涼しい時間帯に行なうようにしましょう。身につけるものも、高い通気性や吸汗・速乾、紫外線カットなど機能のついた帽子やウェアを着用するといいでしょう。

脱水症状にならないようにトレーニング前後やトレーニング中に水分補給をすることも大切です。身体の約60%が水分でできている人間は、汗や尿で失われた水分を補うために1日に約2リットルの水分を補給する必要があると言われています。トレーニングをすると大量の汗をかくので、普段以上の水分補給が必要です。汗として流れ出る水分にはナトリウムやミネラルといった電解質が含まれているので、それを補う意味で、トレーニング中に補給する水分はスポーツドリンクや電解質を含むものがおすすめです。水分をとるタイミングも重要です。喉が渇いたと感じたときには、既に脱水症状が始まっていることが少なくないので、水分を少量ずつ、回数を分けてとるといいでしょう。

トレーニング中にめまい、筋肉の痛み、けいれん、顔面蒼白、しびれ、呼吸が荒くなるなど熱中症の症状が現れた場合は、トレーニングを即刻中止し、涼しいところで休んで水分や塩分を補給します。症状がひどい場合には、病院に行きましょう。

トレーニング前後の食事のとり方
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最近、熱中症の原因となる脱水症状を防ぐために、普段から水分補給を心がける人が増えました。しかし、水はたっぷり飲んでおけば安心というものではなく、そのことが逆にランニングなどのスポーツシーンでは危険な症状を引き起こすことがあります。それが水中毒です。水中毒とは、運動前や運動中に大量の水を摂取することによって血液中の塩分(ナトリウム)濃度が急激に薄まったことで身体機能が低下する症状を指します。近年、マラソンレース中に給水所で水を飲みすぎた市民ランナーが発症するケースがみられることから水の摂取方法に注意が喚起されるようになりました。

水中毒は軽症の場合で息切れ、めまい、頭痛、吐き気、手足のむくみ、重症になると意識障害やこん睡状態などを引き起こすことがあります。水中毒を防ぐには、身体が必要とする以上の水分をむやみやたらにとらないことです。理想は、運動で身体が失った分の水分を加不足なく補給することです。身体のサイズで多少異なりますが、補給量の目安は1時間当たり400〜800mlです。運動中、脱水症状を気にして水分をとりすぎるケースが少なくないので、喉の渇き具合から適量の水分を判断して補給するよう努めましょう。喉が渇いたからといってガブ飲み(1〜2㍑以上)をするような真似は絶対避けるべきです。なお、摂取する水分はただの水よりも、身体が吸収しやすい薄い糖分とごく少量の塩分を含んだスポーツドリンクなどがいいでしょう。

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